「雪」解説

雪は、地唄舞の各流に伝えられておりますが、
やはり、武原はん師(1903年~1998年)による名演が有名で、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
吉村流では、艶ものの中でも扱いの重いものです。
浮世を捨て髪を下ろし仏門に入った女性が、
かつての恋人への想いを断ち切れないでいるという内容です。
舞っておりましても、回数を重ねるほどに
心に重くこたえる演目であると思います。

「雪」歌詞

流石庵羽積作詞
峰崎勾当作曲

花も雪も  払えば清き袂かな
ほんの昔のむかしのことよ
わが待つ人もわれを待ちけん

鴛鴦の雄鳥にもの思い羽の
凍る衾に鳴く音もさぞな  さなきだに心も遠き夜半の鐘

聞くも淋しきひとり寝の  枕に響く霰の音も
もしやといっそせきかねて

落つる涙のつららより  辛き命は惜しからねども
恋しき人は罪深く  思わぬことの悲しさに
捨てた憂き  捨てた浮き世の山かずら

舞の会 情景その五

鼠で、遊女、座敷舞の品格、そして子之助とのバランス。

かつらは、名匠大澤金久さんが作って下さったオリジナルです。

この鬘の凄さを、延々と語りたい。。

指物(さしもの=髪かざり)は

洗朱の疋田、特徴的な笄と櫛で華やぎを持たせてあります。

シッポみたいな毛が出ていて、お茶目です。